エラ(下顎角)骨切り手術は、スリムなフェイスラインを実現できるため骨格的にエラが張っている方に大変人気の整形手術です。しかし、その一方で過度にエラを切除され当院にご相談される患者さまが後を断ちません。そこで今回、慶應義塾大学病院では形成外科指導医であり、かつ頭蓋顎顔面外科専門医として難易度の高い顔面骨の手術を執刀されながら、ザ・プラス美容外科では輪郭形成から他院修正・再建を施す坂本 好昭Dr.に解説をしていただきました。
一度切ってしまった骨は元に戻せますか?
形成外科医には腫瘍など悪いものを取った後になくなってしまったものや、事故で失ってしまったもの、生まれつき持ってないものをつくる役割があります。これを再建と呼んでいますが、一度なくなってしまったものを元に戻すことは非常に難しく、あくまで再建は元の状態に近づけるための治療です。つまり、一度切ってしまった骨も元に戻すことはできませんが再建することはできます。
【当院でよくご相談を受けるお悩み】
✅ 輪郭手術でエラを切りすぎてしまった
✅ 2010年代の輪郭整形で流行した犬顎を自然なフェイスラインにしたい
✅ 生まれつきエラのボリュームが少ない
顎の骨や軟部組織とのバランスを考えずにエラ骨だけを過度に切除した場合、エラから顎にかけてのフェイスラインが凹んで見えたり不自然な輪郭になります。「犬顎」とも呼ばれていますが、このようなお悩みのある方は人工骨を使用してエラを再建することができます。
人工骨とはどんなものですか?
一般的に再建で使用されることの多い人工骨は「ハイドロキシアパタイト」です。ハイドロキシアパタイトとは、人間の骨や歯の主要成分とされているカルシウムリン酸化合物の一種です。骨の主要成分で作られているため安全性は高く、ご自身の骨と結合しやすいという特徴があります。
※ 結合というのは、骨とくっつくだけでハイドロキシアパタイトが骨に換わるものではありません。
しかし、ハイドロキシアパタイトには大きなデメリットがあります。ハイドロキシアパタイトを使用してオトガイと呼ばれる顎を再建する場合は、口腔内からアプローチできますが、エラを再建する場合は口腔内からのアプローチが難しく、外側に傷をつくり人工骨を挿入するため患者さまの負担が大きくなります。
例えば、豊胸のシリコンバックは柔らかいので小さい傷口からシリコンバックを入れることができますが、ハイドロキシアパタイトは強度があり硬く、口の中の切開口から入れることは難しいです。使用するハイドロキシアパタイトのサイズにもよりますが、3〜5cmの傷が想定されるため、エラを再建したくても傷が残ってしまうことを懸念して断念される方は多くいます。
このデメリットを払拭するため、ザ・プラス美容外科では3Dバイオプリンティング技術で組織の再建医療に貢献する韓国の会社と提携し、自分の骨に置き変わる完全オーダーメイドの人工骨を採用しました!
自分の骨に置き変わる完全オーダーメイドの人工骨とは
この人工骨は、組織再建を専門とする韓国の会社が浦項工科大学と長年の研究を重ねて開発した人工骨です。ポリカプロラクトン(PCL)と、β-リン酸三カルシウム(β-TCP)で作られています。ポリカプロラクトンは微生物などの働きによって分解される成分で、スレッドリフトなど溶ける糸にも使われている安全性の高い素材です。また、骨の主成分とされるβ-リン酸三カルシウムは、自分の骨に置換する性質を持っていることが確認されています。
患者さまのCT検査のデータと、執刀医と擦り合わせをした希望のデザインを研究所に送り、そのデータを元に3Dバイオプリントの技術を駆使して、一人ひとりの骨格に合わせた人工骨をオーダーメイドで作成します。
この人工骨はハイドロキシアパタイト製の人工骨と異なり、強度を保ちつつ柔軟性もあるため口腔内からアプローチができ、外に傷を作らずにエラを再建することができます。さらに、この人工骨は
時間の経過とともに自然に吸収され、自分の骨に置き換わることが報告されています。
こちらはシュミレーション模型です。再建したい部分に人工骨をはめるだけと聞くと、とても容易な聞こえになりますが、輪郭の修正や再建は難易度が高く、優れた技術力だけでなく豊富な経験と、解剖学的な知識が必要です。そのため、どこのクリニックでもできるという手術ではありません。
このオーダーメイド人工骨を取り扱っているのも、2024年現在の日本では当院のみです。オーダーメイド人工骨の日本初上陸を記念して、エラ再建のモニターを募集(※2024年8月20日現在)しておりますので、再建を検討している方は公式LINEにてお問い合わせください。
今回のモニター患者さまのお悩みは?
実際に自分の骨に置き換わる完全オーダーメイドの人工骨でエラを再建した症例を紹介します。こちらのモニター患者さまは他院で輪郭2点(エラ+オトガイT字と中抜き)の手術を受け、術後3ヶ月目で当院に来院されました。CT検査で状態を確認したところ、骨格自体は小さくなっていますが、術後のフェイスラインが本人の希望にそぐわなかったため、人工骨にてエラの再建を希望されました。
再建の手術後、3ヶ月の経過を紹介します。この人工骨がしっかり自然なエラを形成し、顎にかけてのフェイスラインも整いました。さらに時間が経過すると、この人工骨は自然に吸収されて、自分の骨に置き換わっていきます。
この人工骨を作成する際は、患者さまが理想とするお顔のフェイスラインを考慮し、大きすぎず、小さすぎず、時間をかけて骨になることを想定したサイズの人工骨を再建する際に使用しています。
𓇬エラ再建の症例情報
執刀医:坂本 好昭Dr. /所要時間:1時間
手術費用:輪郭・骨切り エラ 修正 ¥1,650,000(税抜価格¥1,500,000)
骨切り・骨固定材料 ¥110,000(税抜 ¥100,000)
人工骨作成費用 ¥1,650,000(税抜価格¥1,500,000)
全身麻酔 ¥165,000(税抜 ¥150,000)
リスク・副作用:
手術部位・周辺の腫れや内出血、血腫、感染による傷口の化膿、知覚麻痺などの神経損傷、瘢痕拘縮などが生じる可能性や、手術後にだるさ、発熱、頭痛、むくみ、痒みを伴う症状が出る場合があります。尚、患者様の要望を最大限に配慮した上で骨切りした場合でも、皮膚や肉付きによって多少の左右差や変化が少ないと感じる可能性もあります。
当院では、難易度が高いとされる輪郭手術の修正や再建手術にも力を注いでいます。研鑽した技術力だけでなく、最新の解剖学の知識と医療技術を取り入れ、患者さまにとって最善の選択肢を提供しておりますので、お顔立ちにお悩みの方は是非カウンセリングにてご相談ください。